是非行きたいです。この返事だけでは、まだ何も決まっていない。返事のように見えて、実際には保留だから。
日本語では、断る時に断りの言葉を使わない。実行に必要な情報を出さないことで断る。だから読むのは、書かれた内容ではなく、書かれなかったところ。
不安を一つずつ分けて、起きる確率と、やり直せるかどうかで検証していこう。終わる頃には、次に送る文面が決まっているはず。
社交辞令なのか本気なのか、判定できない
うれしい返事なのに、素直に喜べない。過去に同じ言葉で流された経験があれば、なおさら身構える。その慎重さ、正しい。
言葉の温度だけを見つめても答えが出ないのは、温度が判定材料になっていないから。
断りは、言葉ではなく欠落で表される
はっきり断ると角が立つ。だから多くの人は、拒否の意思を言葉に乗せない。代わりに、話が前に進むための情報を出さない。
いつか行きましょう。機会があれば。みんなで行きたいですね。どれも肯定の形をしているのに、実行に必要な部分だけがきれいに抜けている。
拒否は不在として現れる。ここを知らないと、肯定の言葉を数えて期待し続けることになる。
読むのは、返信に入っていない三つの要素
一つ目、日付や曜日の話が出ているか。来週、再来週、月末。どこかに時間の目印があるなら、相手は実行を想定している。
二つ目、質問が返ってきているか。どこのお店ですか、何時ごろがいいですか。問いを返す行為は、会話を続ける意思そのもの。是非行きたいですで終わって句点が打たれているなら、そこで会話は閉じられている。
三つ目、自分の予定の情報が出ているか。今月は忙しくて、来月なら。この一文があるだけで意味が変わる。忙しいという情報は断りに見えて、実は日程を渡している。
三つのうち一つでもあれば、脈は残っている。三つとも無いなら、その返事は保留として扱おう。
過去の返信を、日付の有無だけで読み返す
今日できるのは読み返しだけ。相手からの返信を並べて、日付が入っているかどうかだけ見る。
言葉の熱さは無視していい。時間の目印があるかどうか、それだけ。三分で終わるし、誰にも何も送らずに済む。
自分の誘い方に原因があるとは、思いたくない
ここは少し痛い話になる。ただ、一番効く場所でもある。
日付のない誘いには、日付のない返事しか返らない
今度ご飯行きましょう。この誘いに対して、是非行きたいです、は正しい返答になっている。
日付が入っていない誘いには、日付を返しようがない。相手は失礼にならない範囲で、同じ細かさの言葉を返しただけ。社交辞令だと決めつける前に、こちらが社交辞令の形で投げていなかったかを確認したい。
相手を読む前に、自分の投げ方を見る。順番はこっちが先。
相手は、投げられた言葉の細かさに合わせている
ふわっとした誘いに具体的な日付で返すのは、相手にとって前に出すぎる行為になる。乗り気だと思われすぎるのが怖い人ほど、同じ細かさで返す。
つまり、あなたの誘いが曖昧だったせいで、相手の本心が見えない状態になっている可能性がある。判定できないのは、材料が渡されていないからでしょ。
以前、男性から相談を受けた。三回誘って三回とも是非行きたいですで止まった、脈なしだと思う、という話。文面を見せてもらったら、三回とも今度飯行こうで終わっていた。
四回目に、来週の木曜か再来週の火曜、どっちが空いてる、と送ってもらった。木曜で決まった。相手の気持ちは最初から変わっていなかったのかもしれない。渡す材料が足りていなかっただけ。
自分が送った文面を確認する
自分の送信履歴を開いて、日付を書いたことがあるか見る。それだけ。
無かったなら、判定はまだ下せない。判定できない状態にしていたのは自分だった、と分かるのは少し気まずいけど、直せる場所が見つかったほうがいい。
是非という強い言葉に、期待してしまう
是非、絶対、めちゃくちゃ行きたい。強い言葉が来ると、脈ありに感じる。ここに落とし穴がある。
熱量の高さと、実行する気は比例しないことがある
強い言葉は、負担が軽い時ほど出やすい。実行しないと分かっている場面では、言葉のコストがゼロになるから。
もう一つ、断る心苦しさを埋めるために言葉が強くなる場合もある。実現させられない代わりに、気持ちの部分だけ大きく返す。悪意ではなく、申し訳なさの表れとして。
だから熱量は、判定材料としては弱い。日付という具体的な情報のほうが、はるかに正確に意思を映す。
淡白な返事のほうが、実現する場合がある
行きたいです、とだけ返ってきて落ち込んだ経験、あるかもしれない。素っ気ないと感じるやつ。
ただ、淡白さは失礼を恐れていない証拠だったりする。飾らずに返せる相手だと思われている。そこに来週なら空いてます、が続くなら、こちらのほうが確度が高い。
言葉の温度と実現率は、思っているほど連動しない。
言葉の強さを、判定材料から外す
今日から、是非という単語は無視する。見る場所を日付だけに固定する。
判定の基準を一つに絞ると、いちいち揺さぶられなくなる。感情の消耗が減るのが、一番の効果かもしれない。
誘い直したら、しつこいと思われそう
一度流れた後、二回目を出すのが一番怖い。ここで止まって、そのまま終わる人が多い。
しつこさの正体は回数ではなく、間隔と圧の強さ
嫌がられているのは回数じゃない。断りにくい形で迫ることと、間隔が短すぎること。
翌日にもう一度送る、返事を催促する、行けない理由を問い詰める。この形なら二回目でも重くなる。逆に、二週間空けて、断りやすい形で出すなら、三回目でも重くならない。
しつこい人は、相手に逃げ道を残さない。そこさえ外しておけば、回数はそこまで効かない。
二回で引く、と決めておく
先に上限を決めておくと、動きやすくなる。日付を出した誘いを二回まで。それで動かなければ引く。
上限があると、一回目を出す時の恐怖が下がる。無限に粘る自分を想像するから怖いわけで、二回で終わると分かっていれば踏み出せる。
引く時も静かに引けばいい。責めない、理由を聞かない。それだけで関係は残る。
共通の予定に紐づけて出す
新しい店ができた、あのイベントが来月ある、頼まれていた話がある。理由が外側にあると、相手が断っても人格の否定にならない。
断りやすい誘いのほうが、実は通りやすい。逃げ道を用意した誘いは、相手の心理的な負担を下げるから。
何度も流されていて、もてあそばれている気がする
三回、四回と繰り返されると、さすがに疑う。この感覚は放置しないほうがいい。
保留を続ける側にも、悪意とは限らない事情がある
私自身、是非行きたいですを本気の時にも社交辞令の時にも使っていた。しかも、自分ではその区別がついていなかった。
後から気づいたのは、本気の時だけ、送信した直後にカレンダーを開いていたこと。無意識にやっていた。行く気がない時は、送って画面を閉じて、それきり忘れる。
つまり、本人にも自分の本心が見えていない場合がある。嘘をついているわけでも、もてあそんでいるわけでもなく、決めていないだけ。この可能性を残しておくと、相手を恨まずに済む。
三回流れたら、そこで確定していい
ただし、事情がどうであれ、結果は変わらない。日付を出した誘いが三回とも動かなかったなら、その相手とは進まないと判定していい。
内心を推理しても答えは出ないし、推理する時間そのものが消耗になる。相手の気持ちはこちらでは動かせない。動かせるのは、いつ判定を打ち切るか。
判定を閉じて、時間を回収する
判定を閉じるのは、相手を切ることじゃない。答えの出ない問いを回し続けるのをやめるだけ。
連絡を絶つ必要もない。ただ、次の誘いを考える時間を別のことに回す。それで戻ってくるものは、思ったより大きい。
今日の一歩は、これ一つだけ
次の誘いに、日付を二つ入れて送る。来週の木曜か、再来週の火曜。この形にするだけ。
二つ並べると、相手は行くか行かないかではなく、どちらかを選ぶ質問として受け取る。断る場合も、両方だめですと返しやすい。どちらに転んでも、返事の中に情報が乗ってくる。
文面を作るのに三分。今日のうちに送れるでしょ。

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